10月生まれの皆さまへ。公式LINEでお届けした、栗〈クリ〉の木のお話をブログでもご紹介します。
栗と聞くと、栗ご飯や甘栗など、秋の味覚を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実は、食べる楽しみだけでなく、木材としても暮らしに関わってきた木です。
誕生月をきっかけに、木を知る
生まれた月に紹介される木を知ると、いつもの景色や身近な家具にも、少し親しみが湧いてきます。今回は、公式LINEと同じく「誕生木 12の樹の物語」で10月の木として紹介されている栗を取り上げます。月と木の対応は、この紹介元のものです。
昔から家の土台にも使われてきた栗
桜井木材協同組合の樹種紹介によると、栗は耐朽性の高さで知られ、昔から建築の土台に使われてきました。家具の材料としても利用されています。食卓に秋を届ける木が、住まいを支える材料にもなっていると知ると、栗を見る目が少し変わりますね。出典:桜井木材協同組合「木材の樹種」クリ
今の土台で檜をよく見かけるのは、なぜ?
「昔は栗、今は檜〈ヒノキ〉」という印象を持つ方もいるかもしれません。その背景を考える手がかりの一つが、日本の森林資源です。
林野庁によると、戦後の山地復旧や木材需要の増加に合わせて、杉・檜の植林が進められました。2022年3月末のデータでは、日本の人工林面積の約7割を杉・檜が占めています。植えて育てられた木を建築に使える、という資源の基盤があります。出典:林野庁「スギ・ヒノキ林に関するデータ」
また、檜は加工しやすく、強度や耐朽性にも優れた材として紹介されています。兵庫県の住宅供給会社等を対象とした調査でも、土台によく使う材は杉・檜という回答が53社中52社でした。これは両樹種を合わせた地域調査の数字です。出典:桜井木材協同組合「木材の樹種」ヒノキ、兵庫県立農林水産技術総合センター「建築用材の流通調査」
こうした資料から、檜の利用には、材の性質に加えて供給の基盤も関わっていると考えられます。ただし、全国で栗の土台が減った原因を直接示す資料ではありません。「栗が性能で劣るから使われなくなった」とは言い切れないのです。実際の材選びでは、必要な寸法・品質をそろえられるか、加工、価格、納期も合わせて考えます。
「腐りにくい」と「虫に強い」は、分けて考える
菌による腐りにくさを「耐腐朽性」、シロアリに食べられにくい性質を「耐蟻性」と呼びます。この二つは同じではありません。
学術誌『木材保存』の2023年の解説に掲載された、木造住宅工事仕様書を出典とする心材の比較表では、次のように整理されています。
- 栗:耐腐朽性は「大」、耐蟻性は「小」
- 檜:耐腐朽性は「大」、耐蟻性は「中」
心材とは、幹の中心寄りの部分のことです。これは心材についての区分で、周囲の辺材まで含めた製品全体の性能や、すべての害虫への効果を保証するものではありません。栗の腐りにくさを、そのまま「防虫効果が強い」「シロアリ対策が不要」と説明するのは適切ではないと分かります。出典:酒井温子「スギ材の利用にあたって 心材の耐朽性をどう理解するか」108頁・表3
木を長く使うには、材の名前だけで判断せず、水分への配慮や施工、必要な防蟻対策、点検まで合わせて考えることが大切です。
家の外でも活躍。栗の意外な使い道
栗の木の用途は、土台だけではありません。
- 鉄道の枕木:線路のレールを支える木材として使われてきました。
- 家具や小さな道具:家具のほか、碁石を入れる「碁笥〈ごけ〉」にも使われます。
- 土木用材:建物以外の工事にも用いられてきた木です。
- しいたけ栽培の原木:森林総合研究所の樹木図鑑では、この用途も紹介されています。
食べる栗の木が、別の食材を育てる原木にもなる。そんなつながりを知ると、木が暮らしのさまざまな場面で役立ってきたことが見えてきます。出典:桜井木材協同組合「木材の樹種」クリ、森林総合研究所 九州支所「クリ」
実だけでなく、木目にも目を向けてみる
同組合の紹介では、栗の材は木目が粗く、中心側の心材は淡い黄褐色から黄褐色とされています。家具や木の見本に触れる機会があれば、色合いや木目にも目を向けてみてください。
木を選ぶ楽しみは、見た目の好みだけではありません。「どんな木なのか」「どんな場所で使われてきたのか」を知ることも、暮らしの中で大切にしたい素材を見つけるきっかけになります。
建峰では、木の床や一枚板など、木を取り入れた住まいについてご相談いただけます。好きな木の色や、気になる使い方を聞かせてください。
参考にした資料
- 桜井木材協同組合「木材の樹種」:栗・檜の特徴と用途
- 「誕生木 12の樹の物語」:10月の木の紹介
- 林野庁「スギ・ヒノキ林に関するデータ」:森林資源の背景
- 兵庫県立農林水産技術総合センター「建築用材の流通調査から見えてきた県産木材の実態」:地域の材種利用調査
- 酒井温子(2023)「スギ材の利用にあたって 心材の耐朽性をどう理解するか」『木材保存』49巻3号、107–113頁:108頁・表3(出典:木造住宅工事仕様書2019年版)
- 森林総合研究所 九州支所「クリ」:木材の用途
※「誕生木」は株式会社Laboの登録商標として、紹介元のサイトに表示されています。本記事は、その月別の紹介を参考にした木のお話です。
資料確認日:2026年10月25日
本物と健康を追求する家づくり
