出会い
大切にしたいこと
私の家ではひとつのルールがある。それは食事中にテレビを見てはいけないということ。「食事中は家族の会話を楽しむこと」これは私が小さい時から父親に教えられて来たことだ。自分が父親になってからも同じ事を教えている。大人になった今、この理由が分かる気がする。
ここで少し父親の事を話そうと思う。
私の父親は滅多な事では怒らない。しかしこの時だけは怒りをあらわにした。それは私と弟がテレビを見てばかりで、母の話を全く聞いていなかったからだ。私達の目の前でテレビを壊してしまった。それを見て私たちは唖然としていた。ただ父はというと後で母に叱られていた。そんな事から、食事中はTVを見ないという事がルールになったのだ。そんな私も今ではもう40代。当時の父と同じ位の年齢だろうか。時間が経つのはとても早いと感じる。気がつけば、もう年の瀬だ。里帰りの時期が近づいて来た。妻と話をして、今年はいつもよりも長く実家に居ようと決めていた。私と妻は大学で知り合った。私が岐阜県山県市、妻が愛知県名古屋市の出身ということで他の友達よりも共通の話題も多く、惹かれ合うのにそんなに時間はかからなかった。「今年は雪降っているかな」妻が言った。私達の住む神奈川県ではあまり雪が降らない。妻の実家の名古屋も雪があまり降らないから、妻はいつも楽しみにしている。
私はそんな妻の楽しそうな顔を見るのが好きだ。雪なんて降らなければとは思うが、妻の笑顔が見られるのなら、降ってもいいかと思った。窓の外を見ると、子供の頃の情景が浮かんでいるようだった。